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こんにちは。ヨッチです。

2019.4.28で宝塚を退団された仙名彩世さん。
先日、引退後、初仕事となる、6月29日13:00からWOWOWで放送される「宝塚プルミエール 雪組『壬生義士伝』」のナレーターを元宝塚歌劇花組のトップ娘役・仙名彩世さんが務めると発表されました。

今後のご活躍を楽しみにするとともに、ここであらためて彼女が退団を決意したものは何か、退団会見を振り返って考えてみました。


仙名彩世の略歴

仙名は2008年3月宝塚音楽学校を卒業。
94期生として宝塚歌劇団に首席入団。

歌、ダンス、演技力に定評がありましたが、スターへの登竜門とされる新人公演のヒロインを経験したことはなく、2017年2月6日付で花乃まりあの後任として、花組トップ娘役に就任

新人公演のヒロイン経験が無い娘役がトップ就任するのは、元雪組トップ娘役神奈美帆以来32年ぶりのこととなり、入団9年目での就任は娘役としては遅咲きでした。

そして2019年4月28日、「CASANOVA 」の東京公演千秋楽をもって、宝塚歌劇団を退団しました。


仙名彩世さんは、娘役トップになるまで苦節9年。早い人だと入団3年目でトップ(2001年の映美くららさん、2009年の愛希れいかさん)になる人もいますが、2000年以降でみると、平均6年くらい掛かっているようです。 


そして花組トップになってわずか2年余りで退団。こちらの方は、花總まりさんのよう8年間も務めている方もいるようですが、2〜3年でトップを退くのは普通のようですね。


卒業はトップ就任時から意識!

2018年10月16日。兵庫・宝塚市の宝塚歌劇団にて会見は行われました。

「私は研究科9年目でトップ娘役に就任させていただきました。卒業の時期というものに関しては、やはり就任時からずっと意識はしておりましたので特にこの時に何か大きなきっかけがあったという訳ではありませんが、ずっとじわじわと心の中では、そのように動いていっておりましたので、自分が納得できる時に今来ているのかなというのが今の気持ちです。」


トップに就任すると、その上はありませんから、あとは退団するしかありません。意識しなくても自然とそのタイミングを考え始めるのでしょうね。そしてその時は徐々に近づいてくる…心が動き、自分が納得する形で決まっていくのでしょうか。


この役を経てというきっかけはありましたか?

「今まで本当に宝塚歌劇団に入らせていただいてから今までいろんな役に出会って成長させていただきましたので、この役が、というものよりも本当に全てが私の中では大切でありますし、全てが今の私を作ってくれたと思っております」
 
退団を決意されてから、花組トップの明日海りおさん、そして組の皆さんにはどのように伝えられたのでしょうか?
 
「もちろん明日海さんにもご相談させていただいておりましたし、お伝えした時に、『ゆきちゃんが自分で決めたことなら』と大きなお心で、私の気持ちを受け止めて下さったのでとても感謝しておりますし、その時に、集大成として一緒に良い舞台を創っていきましょうというお言葉もいただきまして…はい。」
 
その時期はいつ頃ですか?

「『ポーの一族』の公演の時ですね。組の皆様には、東京公演の千秋楽の前の日にお時間いただいてお伝えいたしまして、その時に上級生の方々からは今までよく頑張ったねというお言葉をいただいて、やはりずっと組配属された時から花組で育ってきましたので、皆さんずっと変わらずに見守ってくださって、気にかけて本当にいつも声をかけてくださったので、そのお言葉が嬉しくて、下級生の子たちからも伝えたあとに色々お話ししたんですけど、最後まで学べることは全て学ばせていただきますという言葉をいただいたので、それが凄く嬉しいなぁと思いましたし、頼もしいと思いました。最後まで私が出来る限りのことは伝えたいなと強く思いました」

首席で入団されてからの人生

首席で入団されてからのタカラヅカ人生。振り返ってみての思いとは…

「そうですね…卒業という事を決めてから、あらためて全てを振り返ったという感じがいたします。本当にやっている時はいつも必死ですので、前の事を振り返っている余裕がなかったといいますか、今あらためて振り返ってみるとなんて素晴らしいところなんだろうっていうのは‥‥一人ひとりが自分自身に向き合って常に前進しようと、一歩でも進もうという姿を、その姿を見て私も頑張ろうと思いましたし、やはり自分の心の中の動きはいろいろありましたけれども、全てが必要なことだったと思います」

心の中の動きとは?

もちろん嬉しいことも、これからはこういう事がやりたいという希望も、そして今の自分はこれでいいのかなと不安に思ったりとか、
いろんな気持ちがありましたが、それを味わうことでとして成長していけるんだなということを…」

  

会見では、いろんな気持ちがあったことを繰り返し言っています。でもその全てが必要であり、それがあったから自分が成長出来たと…常に前を向いて、自分の可能性を信じてきた人なのだろうと、あらためて思います。だから、9年掛けて周りの皆んなから評価されていき、トップの座を射止めたのでしょう。


心が動いた時

就任された時に辞めることを考えていらっしゃったということでしたが、ご自身の中で何か到達点になるものはありましたか?

「そうですね。ここですという目標や時期を決めていたという訳ではなくて。ただ自分の心がこの宝塚に来て、十分やったと思えるのが一番ですが、ここにいて自分が、ここで存在して、どれだけ沢山の方に支えられて、そして愛していただいたかということを感じることがどんどん増えて行ったんですね。なので、そういった方々の思いを感じて、そして自分の心が本当に動いたので、本当にじわじわと自分の中に思いが生まれたというか…」
 


自分の心が十分やったというのが一番だと思っていたが、実はそうではなかった。自分の努力によって自分が満足していくという感覚ではなく、沢山の人に支えられ、愛されていることを感じていくたびに、心が満たされていくといった感覚を言っておられるのかと思います。

それは、応援してくれる観客の皆さんだけでなく、一緒に練習を重ねてきた同志、仲間からの愛であり、これこそ、宝塚人にしか分からない感覚かもしれません。そして、心が満たされ尽くした時に、仙名彩世さんは、自然と退団を決意したのだと思いました。


自分の人生は
自分でしか経験できない

様々な役を演じてこられた仙名さん、これまでの経験値をどのようにトップ娘役としての生き方に繋げてこられたのでしょう?自分自身へのルール、大事にしていたことは何だったのでしょうか?
 
「ルール…特にそのルールというものはありませんけれども、下級生の頃からいろいろな個性的な役もさせていただきましたし、もちろんヒロインという経験は少なかったかもしれませんが、それを負い目に感じるということはしないようにしようということはありましたね、自分の中では。自分の人生は自分でしか経験できないことなので、その全てを糧にして、自分なりの娘役像というものを創っていきたいというのは下級生の頃からずっとその思いは変わらずにありましたので、もちろん娘役として、役者としてまっすぐでいたいというところは。」


やはりヒロインの経験が少なかったことに触れ、負い目に感じないようにと話されていますが、これは、少なからず、そういう感情もあったことを言っているのだと思いました。とても正直で素直な方ですね。

そして、自分の人生は自分でしか経験できないことなので、その全てを糧にして…素晴らしい言葉です。

CASANOVA 東京公演の千秋楽での挨拶では、自分にはモットーとか座右の銘はないとおっしゃってましたが、これこそが彼女がずっと思い、大切にしてきたことなのではないかと、あらためて思います。

そしてこのように前向きに生きる仙名彩世さんを育ててきたご両親もきっと立派な方なのだろうと想像してしまいました。




ここに居させていただける幸せ
仙名さんに憧れる、背中を見て育った後輩たちに向けて伝えたい思いとは?

「どれだけ宝塚というものが素晴らしいかということですね。どれだけ娘役でいることがどれだけ幸せなことかというものを。やはり当たり前ではなくて。」

常にそういう思いを確認している?
 
そうですね、やはり忘れない、常に自分が娘役であること、そしてここに居させていただけることというのは、どれだけ自分にとって幸せなことかというのを実感するタイミングっていうのが要所要所で来ると思うんですけれども、やはり常にそれを持っておくということが大事だと思うんですね。どんな時でも今自分がここにいるっていうことがどれだけのことかっていうのを忘れないっていうのを伝えたいなと…もちろん娘役さんもそうですけれど、男役さんも一緒で、男役さんがいるから娘役がいるっていうのは、常に私の中では男役さんへの感謝も忘れない。」


ここにいることの幸せってなかなか言えないですよね。普通の会社員が同じ事、言えるかと問えば、ほとんどの人は言えないし、そういう感覚は持ってないと思います。仙名彩世さんは厳しい世界にいるからこそ、上手くいったときの喜びも大きいし、そういう感覚を味わえる環境にいることを伝えたいのだろうと思いました。


同期の珠城りょう
 
そして仙名さんの同期には月組トップスターの珠城(たまき)りょうさんがいらっしゃいます。珠城さんには何かお伝えになったのでしょうか
 
そうですね。珠城には直接会って伝えることは出来なかったんですけれども、なるべく同期はやはり、ずっと音楽学校から一緒に切磋琢磨してきた大切な仲間ですので、出来れば会って直接話をしたいという気持ちがありましたので、会える子たちには直接会って目を見て思いを伝えて。
そして珠城には会えなかったので、電話で伝えました。その時に、『今まで本当によく頑張ったね、お疲れ様!』という言葉をもらったのと…昨年のタカラヅカスペシャルで初めて舞台上で一緒に踊らせていただいて、それが私の中では凄く嬉しかった…!やはり男役さんと娘役のトップの時期が一緒になるっていうことはなかなかないことなのではないかなと思いますので、このタイミングが奇跡のようで私は幸せに思いましたし、珠城がいるから私も頑張ろうと思うようになったので、本当に珠城には感謝の気持ちです。」


以上、仙名彩世さんの退団会見を振り返ってみました。

人生、常に前向きでいられる人、上手くいかなくてもそれを糧に進んでいける人、周りの皆んなへの感謝を忘れない人、そういう考えをもてば、誰もが幸せな生き方が出来ることを教えられたような気がします。

そしてその努力は、娘役トップというプレゼントを彼女に与えたのだと思います。


今後の活躍を楽しみにしております。



花組のふづき美世さんは10年目で娘役トップに
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出典元:https://www.google.co.jp/search?q=ふづき美世&ie=UTF-8&oe=UTF-8&hl=ja-jp&client=safari#imgdii=LEbzHa3B9hOFiM:&imgrc=fdZuNTRSIhgEqM:

さて、ここで最後に
同じ花組で入団10年目(2003年)に娘役トップに就任した、ふづき美世さんの退団することを発表した時の会見をご紹介します。兵庫県宝塚市の宝塚歌劇団にて行われました。

この会見から、ふづき美世さんも、仙名彩世さんと同じような感覚であったことを感じます。


「宝塚に入ると決めたときから全力投球で走ってまいりました。未熟ながら主演娘役の立場をいただき、そのころから、退団のときを決めなくては、という気持ちはありました。今、最高に幸せで、舞台に集中できて、充実感と満足感がいっぱいです。そのときにと、卒業を決意いたしました」 

花組トップスターの春野寿美礼に報告すると、「最後までがんばってください」といわれたそうです。

心からの笑顔でいたら、きっといいことがあると信じていました。ファンのみなさま、両親、家族のようにいつも一緒だった同期、そして力強く引っ張ってこんな私を大きな愛で包んでくださったおささん(春野の愛称)。今は退団を寂しいと思うよりも、みなさまに出会えたことを喜びたいです。愛いっぱいの笑顔で、ほんとうにどうもありがとうございましたといわせてください」 



以上、ご覧いただき、ありがとうこざいます。
ヨッチでした。

by カエレバ


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